告白よりも、ときめきを
よし!…やりますか。一旦切れた集中力をまた復活させないとだ。
まず、そうだ、これを…。プリントアウトが終わっていた課長の書類を再度しっかり確認してまとめ、課長のデスクの箱に入れた。
必要なモノを資料室に行ってピックアップし、書類と照らし合わせながら確認した。
グラフを作った方がいいかな?こっちはコピーを添付して…。
片桐君のファイルを開く。私のパソコンへ送る。こっちの方がやり易い。
入力していく。
数字は特に注意しないと、一つ違ってもずれたりしてもとんでもない事になる。
手探りでチョコを二、三個摘み、口に入れ、残りのコーヒーを口に含んだ。
…優様々だ!
甘味と苦味。脳が働く気がする。俄然やる気が出た。
思い込みでも脳が騙せるなら、チョコ、コーヒー、万歳だ!
カタカタカタ…。
静かなオフィスに響くのは、キーボードを叩く音と、僅かな機械のモーター音だけ。
会議室は静かだ。ゴホゴホと咳込む声はして来ないから眠れているのかも知れない。
よしっ、出来た…。
プリントした資料を手に会議室を覗く。
…寝ているようだ。
ブラインドの隙間からチカチカ入り込むカラフルな明かりが、夜の仕事へのバトンタッチを知らせている。普通なら、ブラックではない会社の社員はとうに帰っている時間よね。
このまま寝かせてあげたいけど、そうもいかない。
早く終わらせて早く家で休ませた方がいい。
眩しいかも知れないが明かりを点けて声を掛ける事にした。
トントン、トントン。肩に軽く触れてみた。
「片桐君…、片桐君。ごめんね、起きてくれる?…片桐君?」
起きて欲しいんだけどな。この程度では起きないか…。
覗き込んで見る。
「…片桐君」
「…ん…う、ん、ん…。うわっ、すいません。熟睡してました」
「いいからいいから。それより、出来たから確認して欲しいの。頭を覚醒してくれる?」