お前のこと、落としてやるよ。
鏡に映っている私は、目が大きくなっていて唇も赤く色ずいている。
髪も綺麗になっていて、ほんのり甘い匂いがしていて、なんだか少し大人になった気がする。
「これで皐月くんもドキドキしっぱなしね」
コテのコンセントを抜きながら、満足そうに頷くお母さん。
……お母さん、今日は皐月をドキドキさせる為に行くんじゃなくて、勉強を教えてもらったお礼に行くんだよ。
なんてそんな事嬉しそうに笑うお母さんに言えず、ただ「ありがと」と言って微笑んだ。