お前のこと、落としてやるよ。
私に背を向けそう言う皐月に何も言えないまま、「分かった」とだけ言って部屋から出る。
絵梨おばさんに《先に帰ります》とメールした後、家に戻った。
お母さんが「おかえり」と言ってくれたけど何も言わずに部屋のベッドに直行し顔を枕に埋める。
何度も何度も脳裏に、皐月の悲しそうな顔が浮かび『アイツじゃなくて、俺にしろよ。』という言葉がリピートされる。
「あれが皐月の……本音」
ポツリ、と呟いた声は空しく消えていった。