お前のこと、落としてやるよ。


私が、震える手で白い扉を二回ノックすると、しばらくして



「……はい、どうぞ」



中から、少し低くて、でも何故か落ち着くそんな声がして、ドクンと胸が大きく跳ねた。



紙袋の取っ手を握る力が、自然と強くなる。



心臓が速すぎて苦しいし、怖くて逃げ出したい。

でも、……会いたい。



そんな気持ちから、ドアノブに手をかけ、ゆっくり横へスライドさせた。



「なんだよ、母さ………………え、」



読んでいる本から、私のいる扉の方に目線を移すと、固まってしまった。



「…………永、遠、」



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