お前のこと、落としてやるよ。


そこが廊下だというのに、久しぶりに会えた喜びと、母さんの言っていた事が嘘だったという安心感から

松葉杖を離した左手だけで、思わず永遠を抱きしめた。


ちゃんと永遠はここにいる。肌の温もりがそう教えてくれる。

そう思っていたのは……俺だけ。



『……っ、なにすんの!』


永遠が俺に発した二言目は、〝拒絶〟の言葉だった。



最初は人が通る廊下だから恥ずかしかったのかなって思っていた俺。


……でも、そうではなくて。


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