HE IS A PET.


「……前の飼い主?」


 寝耳に水だ。怜がアズミンに飼われる前も、誰かに飼われていたなんて。

 飼い主を転々と渡り歩いているのかと思うと愕然とした。
 しかし、アズミンに告げられた事実はそれよりもショッキングだった。


「怜の幼馴染みでね。十二年も当然のように一緒にいて、身も心も捧げて尽くしてたのに。酷い捨てられ方されたみたいでねー。やさぐれて、ボロ雑巾みたいになってたのを、あたしが拾ったげたのよ。約束したの、怜と。あたしは絶対に、怜を捨てないって」

 煙草を揉み消して、アズミンは私を真っ直ぐに見つめた。


「怜とセックスしようが恋愛しようが、好きにすればいいのよ。公認したげる。でも、怜の飼い主はあたしで、怜はあたしのペット。永続的にね。でないと、あの子また壊れちゃうから」

 そう言ってアズミンはテーブルの上の封筒を手に取り、私に差し出した。


「だから、これは取っといて。あたしのペットが面倒かけちゃって、ほんと心苦しいわ」


『あたしの』を強調されて、むっとした。
 受け取らない私に、アズミンが微笑んだ。


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