HE IS A PET.
『怜の飼い主はあたしで、怜はあたしのペット。永続的にね』
そう言ったくせにアズミンは、レンタル期間の五日を過ぎても、怜を迎えには来なかった。
五日目。怜は黙って、手荷物を整理していた。それに気付いた私も何も言わなかった。
六日目。怜は肌身離さず持っているスマホを、何度も取り出しては何度もしまっていた。
「電話する?」と尋ねると、弱々しく首を横に振った。
七日目。怜は私を抱こうとして断られ、自慰を強要されて断れず、達する瞬間に飼い主の名を呼んで、私を白けさせた。
目を開けた怜は、私の視線から逃げるようにして俯いた。
「……ごめん、つい……。イくときには、アズミの名前を呼べって命令されるから。癖で……」
消え入りそうな声で謝罪して、いそいそと自己始末をする。
「命令されるの、好きだから? 怜ってほんとにドMだよね」
とことん嗜虐を煽る生き物だ。
飼うほどに分からなくなる。
アズミンが残酷なのか、エリックが非道なのか、私が卑怯なのか、全ては怜の思惑なのか。
「他には、どんな命令されるの?」
「……そんなに、ないけど。ただアズミのことだけ、考えてればいいって、よく言われる」
自分のことだけ考えろと命令しといて、放ったらかし。アズミン女王の仕打ちはなかなか残酷だ。
「で怜はそうしてるの?」
「……そうしてるように、見える? 咲希さんといるのに」