HE IS A PET.


「虐待はもう大丈夫なの?」

 怜の心配までしてくれる。


「あー…友達、その彼とは別れる方向に話が進んでるらしくて。でも、ビジネスパートナーとして手を組むかも何だのって、バタバタしてるみたいで。それが片付くまで、怜は知り合いに預けるって」


 アズミン令により、怜はいま、戸田さんの元に身を寄せている。

 アズミンと戸田さんの間でどんな話が交わされたのかは知らないけれど、二人は高校の同級生で十年になる付き合いらしいから、確かな信頼関係があるんだろう。


「そっか、なんか可哀想だね。飼い主の都合であちこち行かせて」


 守田さんはポツリと漏らしたあと、

「あ、友達のこと悪く言っちゃったみたいでごめんね」
 
 慌ててフォローを入れた。

「全然。私もそう思いますもん」

「まあ、いい方向に向かうといいね。倉橋さんちがペットOKだったら良かったのにね。話聞く限り、レイちゃんのこと大切に思ってるみたいだし。レイちゃんも懐いてたんでしょ? 倉橋さんが引き取ってあげれたら、一番良かったのにね」

 守田さんの優しい言葉が胸を刺した。

この串カツの先端くらい、鋭い。手にしたアスパラベーコン串を凝視する私に、

「でも、倉橋さん忙しいから。ペット飼うと大変だよね。勝手なこと言ってごめんね」

 守田さんはまた謝った。

 怜にも守田さんにも、何故か謝られてばかりだ。私って、そんなに怖い人なんだろうか。


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