HE IS A PET.
私って損なことに、とことん保護者向きな性格なのかもしれない。
クルーズで会った怜の様子が少し変だったことと、淋しげな空気が危なっかしく思えて、結局放っておけなかった。
待ち合わせのデパート前。
大きなクリスマスツリーの下で怜を発見したとき、やっぱり来て良かったと溜め息を吐いた。
「お待たせ。行こう」
二人組の男の間から割り入るようにして声を掛けると、怜は伏せていた瞳をぱっと私に向けた。
「あ、お友達? お友達も美人さん。二対二になったことだし、四人でカラオケでも行かねえ?」
「それか、飲み行く? 俺ら奢るし」
何なんだ、このチャラくて若いのは。
私はこういうのに、絶対ナンパされない。
交渉相手を私に切り替えたようだけれど、目的は怜だと丸分かりだ。
「すみません。急ぐんで」
怜の手を引き、歩き出す。
電話番号の交換だけでもとしつこくついてきたけれど、やがて雑踏に紛れていなくなった。
街全体がクリスマスカラーに彩られた聖夜。
叩き売りされているケーキの前を通り過ぎ、繋いでいた怜の手を離した。
ビジュアル的に女同士だし。