HE IS A PET.
「そう言えば、学校って、もうすぐ卒業だよね?」
「うん」
「卒業したら、どうするか決まってるの?」
二度目の高校三年生をやってる怜に、大学受験する気配はまるでない。
「今までと一緒。アズミの仕事手伝う。モデル以外の仕事も、色々できるようになりたい」
そっか。就職の心配も怜はしなくていいのか。
アズミンのところに永久就職しているようなものだから。
ペットとして。
『怜はあたしのペットよ、永続的にね。約束したの、あたしは怜を絶対に捨てないって』
それが本当なら、怜は一生アズミンに飼われるということだ。
それは途方もなく現実味のない契約に思えるのに、断言できるアズミンが不可解でならない。
「アズミンの役に立ちたいんだね」
「うん。俺はアズミの役にしか立てないかもしれないけど、アズミは沢山の人の役に立てるから」
よく分からないけれど、怜は怜なりの理屈でアズミンに仕えているらしい。
怜の足取りに迷いはない。私の心配など無用そうだ。
でも、とりあえず訊いておくか。
「で、今どこに向かってんの?」