HE IS A PET.
「イルミネーション、見るの好き?」
思い出したような口調で、怜が尋ね返す。
イルミネーション?
「うん、好き」
嫌いな女って、そういないと思う。
「じゃあ、けやき坂通り。咲希さんと歩きたい」
ドキリとした。
守田さんと、今日行ってきた場所だ。クルーズ乗船前に、ヒルズをぶらぶらしてきたのだ。
「……嫌?」
怜が、不安げに小首を傾げる。
「ううん、行きたい」
ああ、チクリと胸に感じる罪悪感。二股をかけているような気分。
でも、守田さんとも怜とも付き合ってはいないから、浮気じゃない。
やましくないなら、隠さなくてもいいはずだけど、わざわざ言うことでもないだろうし。
黙って、本日二度目のデートスポットに出向いた。
守田さんと行った時間帯にはまだ点灯していなかった雪の華が、豪華絢爛に満開しているだろう。