HE IS A PET.


「付き合ってませんよ、お友達です。それに別に今日電話しなくたって、日曜日に会う約束してますから」


「お前なあ、コンスタントにデートしといて『お友達』って、何だよ」


「何がですか。友達として付き合いたいって言ったのは向こうですから。長尾さんこそ……」

 亜美ちゃんのことを突っ込みそうになって、慌てて口をつぐんだ。

 彼女の長尾さんへのアプローチは露骨ながら、私が口にすることじゃない。


「俺が、何だよ?」


「何でもないです。すみません」


 ムカつけど先輩だ。謝って一線を引き、帰り支度を整えていると


「悪い。プライベートに口出しすぎた」

 珍しく長尾さんが謝ってきた。


「寿司でも食って帰るか?」

「奢りですか」

「ああ。カッパ巻きと玉子以外食わないなら、奢ってやる」

「穴子食べたいです」

「お前はマスオさんか」

「いや、マスオさんは穴子さん食べないと思いますけど」

 食べちゃったら、日曜のお茶の間に衝撃が走ってしまうじゃないですか。
 穴子さんの奥さん、確か恐妻だったよね。旦那さんが男の同僚に食われたら、恐妻もビックリだって。


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