HE IS A PET.
怜はもう、私とは違う世界を生きている。
初めからそうだったのだ。今さら思い知らされただけで。
複雑な気持ちで、怜が載った雑誌広告を眺めていると、隣からやけに鋭い視線を受けていることに気づいた。
銀行の待ち合いロビー。
長い時間、怜の写真を凝視していたのが変に思われたのか、隣に座る『チンピラ風』のお兄さんが、嫌にこっちを見ている。
さりげなさを装って、すっと雑誌をラックに戻した。
するとお兄さんはさっと立ち上がり、私が戻した雑誌を手に取った。
そしてまた隣に座った彼に、今度は私が視線を送る番となった。
ページを捲るわけでもなく、裏表紙の広告をじっと凝視している彼の表情は硬く、とても険しい。
「チトセ。銀行印、ちげーってよ」
カウンターから戻ってきた、友人らしき同類に声をかけられて、隣の彼は雑誌から顔を上げた。
短く整えられた黒髪に、細く整えられた眉。きりっとした目元に、高く通った鼻梁。険しい表情は崩さず。
チトセと呼ばれた彼は、
「あぁっ、マジかよ」
と唸るように答えると、立ち上がって雑誌を椅子に放った。
そのまま行こうとした彼を、咄嗟に呼び止めた。
「あのっ……!」
振り返った瞳が、訝しげに私を見る。
「……雑誌」
『チトセ』は面倒臭そうに雑誌を手に取って、乱暴にラックに戻した。
「怜の、」
意を決して出した名前に、チトセの指先がぴたりと止まった。
「……幼なじみですよね?」