HE IS A PET.


「ちょっ、サキちゃん。一発で地雷踏むとか、マジどS。チョー愛してる」

「どしたの、シュウ。今日一段とバカっぽいけど、大丈夫?」

 眉をひそめる私に、シュウが答えた。

「全然大丈夫くない。俺、離婚しちゃった。てか、式挙げたけど籍入ってなかったし。子供、俺の子じゃなかったし。そんなの、俺全然知んなくてさ。子供の名前、吐くほど悩んで考えたのに不採用だし。こんな話、サキにしか出来ないし」


 いやいやいや。全く初対面の守田さんにも話しちゃってるし。このテーブルから半径五メートルは静聴体制に入ってますけどね?

 シュウに落とされた爆弾は数知れずだけど、今回は最大級。

 残念ながら、私以外に処理できる人間はいない。


「自業自得じゃん」

「マジでー? ひでぇ」

 へらりと笑うシュウは、無自覚すぎて世話が焼ける。痛いことほど冗談にして、へらへら笑って誤魔化す性格。昔から変わらない。


「守田さん、ごめんなさい。ちょっと込み入った事情らしいんで……」

「うん、いいよ。話聞いてあげて。帰ったら電話して」

 守田さんは微妙な笑みを浮かべて、カフェを出る私たちを見送った。



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