HE IS A PET.


 はぁと溜め息を吐いて立つと、シュウが上目遣いで見上げた。


「ごめん、怒った?」

「な訳ないじゃん」


 今ので怒るくらいなら、もうとっくに友達やめてる。


「今さら言うけど、ごめんね。強引に押しかけて」


 シュウ? らしくない、殊勝な態度。

 まじまじと見下げると、大きな瞳は瞬きを惜しむように私を見つめたまま、可憐な唇が爆弾を落とした。


「サキちゃん。俺と、結婚して下さい」

 たっぷりの間を置いて、私が返した言葉は一言。

「は?」


「サキちゃん、俺と結婚して」

 淀みない口調で繰り返される、プロポーズ。聞き間違えじゃないらしい。


「何それ。何で?」

 冗談にしても脈絡が無さすぎだし。離婚直後の自虐ネタ? 笑えない。


「サキちゃんのこと、愛してるから」


 笑い飛ばすタイミングを逸してしまうほど、シュウは真っ直ぐにハッキリとそう告げた。

 その堂々たる麗しさに、不覚にもつい見とれてしまう。

 危ない危ない。
 中身を知っていてときめくだなんて。シュウの見た目の良さは犯罪だ。






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