HE IS A PET.


「大丈夫? 離婚のショックで、頭オカシクなっちゃった?」

「違う、前から。高校ん時から、気付いたら好きになってた」


 違う。雲行きが本気でオカシイ。
 シュウが本気で言ってるような気がしてきた。だけど、言ってることがオカシイ。


「高校ん時からって……」

 現在に至るまでの約八年間。
 シュウはカノジョを取っ替え引っ替えしたり、アズミンと同棲したり、バンドのファンに手を出したり、いつの間にかデキ婚していたり。

 その恋愛遍歴はとっても奔放で、私のことをずっと好きだったなんて、どの口で言えるのか。

「嘘でしょ。信じらんない」

「ホントだから。信じて」

「何で、急に突然?」

「だからぁー、突然じゃないって。ずっと好きだったの」

「だけど、いきなり結婚してって、おかしくない?」


「俺、チョー本気だよ。だから、サキちゃんも真剣に答えて。俺のこと、嫌い?」


 答えを確信しているような瞳が尋ねる。

「嫌い、じゃないよ」

 嫌いな相手を部屋に招き入れて、紅茶なんて淹れてやらない。




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