HE IS A PET.


 「だけど、結婚なんて考えらんない」


 色んな過程をすっ飛ばしてのプロポーズ。相手がシュウじゃなくても、現実味が湧かない。

 相手がシュウだから、尚更だ。


「何で?」

 何でだろう。シュウが結婚したと聞いた時にも、全く想像がつかなかったのは。

 ああ、そうだ。

「シュウって、働いてる? てか働いたことあるの?」

「ない。でもお金なら持ってるよ。慰謝料だっつって、元奥さんの実家から大金もらったから。一生遊んでは暮らせないけど、一生食うには困んない程度」


「マジで?」

 どんだけ金持ちなの、元奥さんち。てか、どんだけヒモ体質なのだよキミは。


「結婚したら、サキちゃんにあげる。ちょっと使っちゃったけど」

 へらりと笑うシュウが、本気で心配になってきた。


「そんな簡単でいいの?」

 安易だし軽い。シュウが口にすると、大金も結婚も全然重みがない。
 ふわふわと夢物語を聞いているようで、現実味に欠ける。

「いーの。サキちゃんのこと愛してるから」



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