HE IS A PET.
「離婚して、たった二ヶ月じゃん。別れた奥さんのこと、気にならないの? 私は気になってるよ。赤ちゃん、私生児になっちゃったの?」
「ううん。元奥さん、赤ちゃんの本物のパパと結婚したから。……んな顔しないで。俺、元奥さんにはチョー感謝してるし」
へらりと笑って、シュウは立ち上がった。
「俺さぁ、付き合ったら別れるってエンディングしかないって、ずっと思ってた。家族になるって選択肢、教えてもらって、目からウロコ落ちた。サキちゃん、俺サキちゃんと家族になりたい。ちゃんと働くから、結婚して」
「……ごめん。シュウのこと、そんな風に見れない」
「バカだから? ニートだから? それとも俺、そんなに色気ない?」
そう言って小首を傾げると、さらりと音を立てるような髪の毛と、自然の赤みを差した唇は、可憐で麗しい。
それに見とれた一瞬の隙をついて、小首を傾げたままの角度でシュウの唇が近づき、触れた。
軽く押し当てられた感触は、すぐに去った。
目を見開いたままの私に、シュウが笑った。
「これで、ちょっとは意識してもらえる?」
キスされたんだと、ゆっくり認識すると同時に、シュウが言った。
「今夜、泊めて」
そっと両手を伸ばすと、シュウは委ねるようにその間に顔を寄せた。
再び近づいてくる唇の横をつまんで、思いっきし引っ張ってやった。
みょーんとよく伸びる。
「なぁ、さぁき、ひゃんっ……何すんのーぉ」
「お仕置き」