HE IS A PET.


 シュウをうちに住まわせて、三日になる。

 二週間以内に新しい家を見つけて出て行くという約束なのに、シュウが本気で家探ししている気配はない。

 とりあえずネットで探せとパソコンの前に座らせると、小一時間くらいぶつぶつ言いながら、画面を眺めている。
 
 シュウはとにかくよく喋る。私が相手にしないから、それは独り言になる。


「うあ、これチョーそそるー」


 どこにいてもシュウはマイペースで、だらしなくて、部屋のあちこちにシュウが行動した痕跡が残っていく。

 例えば、脱いだ服。飲んだコップ。使った歯磨き粉。
 どれも中途半端に、片付けていない。


 何でも神経質なほど元に戻していた怜のことを、思い出す。

 キッチンに立つシュウを見ては、キッチンに立つ怜を思い出し、お風呂上がりのシュウを見ては、お風呂上がりの怜を思い出した。

 立つ鳥跡を濁さずで、綺麗さっぱりこの部屋を出て行った怜の、残像ばかりを追っている自分に気づく。


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