HE IS A PET.
怜がいない。商品の掲載ページはともかく、サイトのトップはずっと怜が飾っていたのに。
化粧品メーカーのポスターモデルに起用されたことと、関連があるんだろうか。
怜はちゃんとアズミンの元にいるんだろうかと、焦りにも似た不安がよぎる。
「サキちゃん?」
明るい瞳が私を見上げて、小首を傾げた。
「する? わんにゃんコスプレ」
「しない」
アズミンちから抜け出して、都内の賃貸マンション情報を検索した。
「ほら。ここに、条件入れて絞り込みできるから。路線、家賃、間取りね」
「えっとぉー、品川でぇー2LDKのー…角部屋でぇ」
ひょいひょいと高条件を指定していくシュウは、やっぱりふざけてる。
「シュウ。まさか、またアズミンちに転がり込むつもりじゃないよね?」
『品川で2LDKマンションの角部屋』と言えば、アズミンちに他ならない。
「今さら、そんな都合のいい真似。しちゃ駄目だって、いくらシュウでも分かるよね?」
いくらアズミンでも怒るよ。
いや分かんないな、アズミンのことだから、出戻りシュウを喜んで受け入れたりして。
そんなことになったら……また怜の居場所が危うくなってしまう。