HE IS A PET.
「分かってるってー。タツキ、新しいヤツ飼ってんだもんね。結婚するってね」
「えっ?」
アズミンが、結婚? 怜と?
「……それ誰から聞いたの?」
「タツキ。去年の冬かな、ばったり会って。ライオンみたいな外人連れてて。ニューヨーカーだから、結婚できんだってウキウキして言ってた」
ああ、エリックか。
ニューヨーク州では、同性婚が法律で認められている。
それにしてもアズミンが、エリックと結婚まで視野に入れて付き合っていたなんて。知って、複雑な思いが胸に広がる。
「タツキも結婚することだし、サキちゃんもどう? 俺と結婚しちゃう?」
くるりと顔を振り向けてにぱぁと笑うシュウに、深い溜め息が洩れた。
「アズミン、結婚しないよ。私もしない」
「えー何でぇー?」
この押し問答、この三日で何度繰り返したか分かんない。
「アズミンは、その彼と別れたから。私は……好きな人がいるから」
「……それって、この前サキちゃんとお茶してた」
「ううん、違う」
守田さんには、「そんな相手がいるなら言ってほしかった」と言われた。
怜のことじゃなくて、シュウのことだ。
同居することになったと話したら、引かれた。わざわざ言うことじゃなかったのかもしれないけれど、黙っているのも後ろめたかった。
きっともう連絡は来ない。