HE IS A PET.
Costume
翌朝、怜は私より早く起きていて、朝食を用意してくれていた。
焦げ気味のトーストに黄身が割れた目玉焼き、大量にちぎられたレタスに不格好に切られたトマト。
「ごめん、慣れないことして失敗した」
しゅんとする怜に笑った。
「失敗してないよ、サイコーに美味しい」
本当に美味しかった。
怜が奮闘してくれた証。焦げ味や潰れた切り口が愛しくて、食べると胸にジンときた。
独り身が長いせいか、こういうシチュエーションに弱くて参る。
誉めると、怜は嬉しそうに笑った。
その笑顔に、耳たぶを貫く金属類の硬質さ無機質さが際立つ。
どれだけ穴があるのかと思うほど、今日はピアスだらけの耳。
肩口が大きく開いたゴシック調の黒いロンTに、黒地に茶縞が入ったスキニーパンツ。
『ゴシック系』『ビジュアル系』などと呼ばれるファッションをした怜は、昨夜とはまたガラリと雰囲気が違う。
「怜って、本当はいつもそういう格好?」
私をじっと窺っていた怜は、えっ?と言って、不安そうな顔をした。
「こういうの嫌い? 咲希さんに似合うかなあと思ったんだけど……」
「え? 私に似合うって、どうして?」