HE IS A PET.
「『グラマテリアル』のステージ見て……咲希さんのイメージに合うと思って」
怜の口からたどたどしく出てきた懐かしい響きに、目を丸くした。
『グラマテリアル』というのは、二年前に解散したアマチュアバンドだ。
100%悪趣味で構成されたようなグラム・ロックバンドで、私はそこでサックスを吹いていた。
私以外のメンバーは全員男だったけれど、全員女装めいた服装をしていたため、私まで女装した男だと思われることがよくあった。
まあ、ステージ衣装は軍服をコスプレしたものが多かったし、ブーツを履いた身長は170超えるから、そう見られても仕方なかったよねと、自分フォロー。
「グラマテのステージ見たって、ビデオで?」
「うん。アズミに見せてもらった」
「私のこと、男だと思わなかった?」
まさかと思って尋ねる。
「……実は、アズミから男だって聞いてて。昨日まで、そう思ってた。咲希さん、女の人……だよね?」