HE IS A PET.


「アズミが、咲希さんに連絡したの? 俺がここにいるって……何で」

 どこかまだぼうっとしたような怜が、呟くように尋ねた。

 遠い夢を追って、夢遊病者のようにフラフラとさまよう怜を。
 もうこれ以上歩かせたくないと思うのは、きっと私のエゴだ。


「悠里は、ここにはいないよ。居場所は、怜には教えたくないんだって。チトセ兄から聞いた。今は叔母さんしか住んでないし、ウロウロされるの迷惑だって。それに、叔母さんちょっと変わってるから、怜がこういう目に遭わないか心配してた。聞いてたのに、注意しなかった私の責任。だから、アズミンの代わりに迎えに来た。ごめん」


 言いながら思う、なんて冷たい台詞だろう。

 怜を傷つけるのは、もう私だけでいい。
 悠里がつけた傷が消えることがないのなら、私が真新しい傷をつけよう。


「咲希さんが、謝ることないよ」

 痛々しい顔をして、怜が薄く笑った。

「ここには、無理やり連れ込まれた訳じゃないよ。縛られてたのも、俺がそう望んだから。三日間、好きにしていい代わりに、チトセの居場所を教えてもらうっていう、交換条件だから」


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