HE IS A PET.



――――交換条件。

 献身的なのか、打算的なのか分からない響きに、殴られたような衝撃を受けた。


「好きにしていいって……、変態プレイもOKなわけ? 怜は、誰とでもそういうこと出来るんだもんね」

 合意の上だったと聞いて、募る苛立ちとやるせなさ。
 怜はどうして怜を大事にしてくれないんだろう。それが悔しくて、悲しい。

 悠里だって、今の怜を見たらそう思うだろう。


「そんなことまでして自分を探してほしいなんて、悠里は思ってないよ」


「……分かってる。でも、会いたいから。帰らない。三日間って、約束だから」

 変態プレイも覚悟の上だと言わんばかりの言葉に、思わず声を荒げた。


「何言ってんの、帰るよ。連れて帰るって、アズミンに約束したんだから。私まで嘘つきになっちゃうじゃん。怜の嘘つき。アズミンの側にいたいって言ったくせに」


「嘘じゃないよ。アズミのそばにいたいって言ったのも、チトセに会いたいのも、咲希さんのこと……好きなのも」


「……何それ。そんなの……、怜の都合ばっかりじゃん」

 吐露された本音に唖然とする。
 開き直った怜の微笑が、酷薄すぎて。

 なのに儚くて。手を伸ばしたら壊れそうなほど脆く見えた。


 ガチャン、バタン。

 玄関のほうから、賑やかな音が聞こえてきた。チトセが帰ってきた。


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