HE IS A PET.
「……お帰りなさい」
「つか、まだいたのかよ。とっとと帰れよ」
心底嫌そうに言い放ったあと、チトセは私を睨んだ。
「あ? 送れとか言うなよ」
「うん勿論、自力で帰るけど」
「じゃあな、二度と来んなよ」
言葉尻は怜に向けられたものだ。
私たちに背を向けたチトセは、どうやら冷蔵庫に向かう。
一緒に帰って来なかったところを見ると、魔女には逃げられたらしい。
ピリピリとした背中からは、これ以上会話したくないオーラが放たれている。
「どうも……」
お邪魔しました、と続けようとした言葉を遮ったのは、怜だった。
「あのっ……」
チトセが振り返って、怜を見た。手にした冷水のボトルくらい、冷ややかな目で。
「あの、聡子さんは……」
「あ?」
「待ってたら、戻って来ますか」
「は? お前馬鹿? まだここにいるつもりかよ。待たせるわけねえだろ、図々しい野郎だな。むかつく」