HE IS A PET.
私が勝手に抱いていた悠里のイメージが、音を立てて崩壊する。
悠里は、病床の美少女で。
一途な恋を健気に貫いた人魚姫のように、強くて儚い存在――なはず。
恋人のエロ画像を実の兄に見せびらかすなんて。
強制ワイセツ罪まがいのことをやってのけるような少女だったとは。さすが魔女の姪、血は争えない。
「あんたは黙れ。今はあんたのかもしんねえが、悠里のもんだったときのコイツに、とやかく言えんのは悠里だけだ。なあ、お前悠里に謝ってほしいのかよ? な訳ないよな。悠里のためなら何でもするって、自分で言ったんだよなあ?」
とことん意地悪く追い詰めるチトセを、怜は泣き出しそうな瞳で見上げた。
「媚びんな、淫乱。お前の何がムカつくって。お前さ、悠里なしじゃ生きらんねえくらい、悠里に依存してたんじゃなかったのかよ? お前、何で生きてんだよ。何、あっさり他の女に乗り換えてんだよ」
「違う。怜が、悠里に捨てられた後どんだけボロボロだったか、知らないくせに。学校行けなくなって、留年したんだよ」
「は? 何だよ、それ。で被害者面して、同情買って、あんたに拾われたわけだ? あんたも偉そうなこと言えた口かよ。コイツを金で飼って、ヤることヤってんだろ? 会ったときまだ十八以下だったんじゃねえのかよ。それこそ犯罪だよな?」