HE IS A PET.


「え?」

「今日、シュウ実家に帰るから、送ってあげるんだった。もう帰ってるかな……ちょっと電話していいですか?」

 守田さんに断りを入れてバッグからスマホを取り出した。
 不在着信が一件あった。アズミンからだ。


「あ、」

 怜のこと、報告していない。

「大丈夫?」

 私の顔色を窺う守田さんに、慌てて取り繕った。

「あ、はい。大丈夫です、後で」

「ほんとに大丈夫?……彼、実家に帰るって、喧嘩したとか?」

「いえ、そういうんじゃないです。実家に帰るのは、シュウの家の事情で」

「そうなんだ……引き留めないの? 彼のこと好きなんでしょ?」

 ああ、やっぱり。シュウとの関係を誤解されてる。

「好きですよ。高校からずっと友達なんで。離れても、それは変わらないと思ってます」

「それって、友達としての好き? それとも異性として?」

 即答できない自分に滅入る。

 シュウにキスされたことを思い出したからだ。
 ただの友達とキスはしない。

 ああ、だけどペットとなら、スキンシップに入るのか。
 怜とは毎日普通にキスしてた。でも普通はヒトをペットにはしない。

 普通が何か、もうよく分かんないな。


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