HE IS A PET.


 ぎゅっとハグされる。

「……っしゅう、なに、何で」

 背を丸め、私の肩に顎を乗せ、猫が甘えるみたいに首を左右に振る、シュウのさらさら髪がくすぐったい。

「もう出て行ったかと思った? コンビニ行ってただーけ。サキちゃんの顔見ないで帰るわけないじゃん」

 抱擁を緩め、真正面から私を見据えたシュウが笑った。

 何だ、そっか。

「なっ……」

 甘い顔をしたシュウが、予期せぬタイミングで、私の言葉を塞いだ。

「……っんっ」

 発音はシュウの舌に押し込められて、苦しい吐息に変わる。

「なっ、な…に、すん……」

 突然の深いキスに動揺しまくりな私を、シュウはまたぎゅっと抱きしめた。

「だって、すげー可愛い。俺のシャツ握りしめて泣いてるなんてさぁ、キュンキュンしちった。俺がいなくなったと思って、淋しかった?」

 指摘されて初めて気づく。

「違う……別に泣いてなんか」

「違わない、泣いてる。淋しかった?」

 私の肩を少し押して間合いを取り、シュウが見つめる。
 真っ直ぐに問いかけてくる瞳に、いたたまれなくなって俯いた。

「まあ、そこそこ……淋しかったけど」

 シュウが何もかも忘れて出て行ったと信じて、底抜けに淋しかったのは本当だ。


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