HE IS A PET.


 何だ? 変身って。

 顔を上げて脩吾を見ると、悪い布団の顔をしている。極上の肌触りだと言わんばかりの。

 私の頭と腰を抱き寄せながら、ゆっくりゆっくりと床に押し倒す。
 まるで介護のように優しい寝かされ方に、つい無防備に身を委ねてしまったものの、腰の辺りに布団が跨がってきた時には、さすがに焦った。

「ちょっ…待って、脩吾。なに、」

「寝たい。俺、昨日からじぇんじぇん寝てなくてさぁ、激ネム。サキちゃんも一緒に寝よう。一回寝れば、大概のことは解決するって」

 楽観主義らしい能天気なことを言って、覆い被さってきた脩吾の、下敷きにされてもがいた。

 これじゃ私が布団じゃないか。

「お、もい……!てか、痛いよ背中」

 ラグマットを敷いている上とはいえ、寝そべり心地は固い。
 片肘を立てて、上体をわずかに起こした脩吾が、唇が触れそうな距離で答える。

「じゃあ、ベッド行く?」

「い、行かない。まだ夕方だよ」

 夜遊びした脩吾は激ネムかもしんないけど、私は眠くない。

「ふ~ん。じゃあ、夜になったらいいの? 一緒のベッドで寝ても」

 都合良く解釈して、私の髪の毛を撫でる。その手つきの艶かしさに、ますます焦る。

「な、何言ってんの、今日帰るんでしょ? 実家に。夜になる前に送ってくから、寝るんなら車ん中にしなよ。早く退いて。ほんとに重いんだって!」

 じたばたする私を組み伏せたまま、脩吾は黙って楽しそうに見つめてくる。

「退かないなら蹴るよ」

「サキちゃん、照れてる? 可愛い。顔、チョー真っ赤」

 笑われて、ますます顔が火照る。

「違っ、照れてない」

「違わない、照れてる。俺のこと、男として意識してくれてんだ? シュウちん、感激」



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