HE IS A PET.
Hostage
『一回寝たら、大概のことは解決するって』
脩吾の言うことは本当にいい加減だ。
でも、あながち間違ってもいなかった。
いくら悩んでも出なかった答えが、一晩寝た翌朝、はっきりしたからだ。
怜を悠里に会わせてあげることは、もう決して出来ない。
千歳悠里は、八ヶ月前に亡くなっていた。
早朝に、アズミンからワン切りコールがあった。
嫌な知らせだと予感して、かけ直した電話で知ったのは、怜が再び行方知れずだということと、悠里がすでに亡くなっているという事実だった。
悠里の死を知った怜が、行方をくらましたのだ。
そう頭では理解できても、心は鈍い。
どこか遠くの話を聞いているような気持ちで、耳に押し当てている液晶画面の眩しさだけが実感できた。