HE IS A PET.


「怜から連絡はなかった?」

「怜とは、魔女んちで別れたきりだけど。いなくなったって、アズミンちに帰って来た後に、いなくなったの?」

「うちには一度も帰ってないのよ。あたしが迎えに行く前にチトセのマンションを出てて、その後の足取りが分かんなくなってんのよ。じゃあ、咲希んちには行ってないのね?」


「もしかしたら、訪ねて来たかもしんないけど。いま実家帰ってて、家にいないから、分かんない」

「実家? 何、なんかあったの?」

「脩吾を送りに来て、ついでに実家寄ったら、泊まりになっちゃって」

 今すぐ帰れないもどかしさに、胸が焦がれる。

 一刻も早く帰り着きたい。

 怜がやり場のない感情を持て余しているのだとしたら、いくらかでもそれを貰い受けよう。


「ねえ、シュウと何かあったの?」

「えっ、ああ……脩吾のおじーちゃん、容態が急に悪くなって……」

 昨夜が峠だと聞いた。
 気になりながら眠りに就いて、三時間ほど眠って、一時間前に起きた。

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