HE IS A PET.


「え、あ……そうなの? シュウと何かあったのかって訊いたんだけど」

「脩吾と?」

 どきりとする。

 脩吾の体温を思い出すと、罪悪感に似た甘酸っぱさが胸に広がる。 

「シュウのこと、脩吾って急に呼び変えるなんて、怪しいじゃない。さてはあんたたち、遂にヤったわね」

「ヤってません。別に急にじゃないよ。シュウは、元々脩吾だよ」

「あらぁ、しらばっくれる気ぃ? まあ、その話はまた今度ゆっくり聞くとして。もし怜から連絡あったら、保護しといてくれない?」

 そう言って電話を切ったアズミンの落ち着いた声色に、逆に落ち着かない気分になった。


 起き抜けの家族に挨拶をして、家を出た。

 朝ご飯くらい食べて行けだの、次はいつ帰るのだのと、見送りながらも引き留める母親を、眠たい笑顔であしらった。

 本当なら昨日の内に帰る予定だったのに、父親の晩酌に付き合ってお泊まりコース。

 まあ、お酒に逃げてしまった私が悪いんだけど。

 
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