HE IS A PET.


「ねえ、その電話かけて来たのってどんな……」

 話の途中で、ピンポーンと家のチャイムが鳴った。

「あっ、来た来た。あんたには内緒って約束だから、ちゃんと驚きなさいよ」

 無茶な要望を言って、慌てて玄関に向かった母親と、一緒にリビングに入ってきた人物に驚かざるを得なかった。

 百八十を超える長身に、さらりとしたサマージャケットとすらりとしたストレートジーンズ。短い黒髪に精悍な顔立ち、寡黙な雰囲気。

 昔、野球少年だったというのも納得な、その好青年は――千歳敦司だった。


「チトセ……、何で」

 目まぐるしく脳内を駆け巡る幾多もの疑問の、何から口に出せばいいのか分からず、パニクる。

 チトセが言った。

「急に押しかけて、悪い。謝りたくて来た」


 誰だこれ。

 あの傲慢で底意地が悪くて、私を嫌っているチトセがいきなり実家までやって来て、別人のような雰囲気と態度で

「謝りたい」

 だなんて。





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