HE IS A PET.
「あいつって?」
「とぼけんな。犬に決まってんだろ」
吐き捨てるように言って、運転しながらジャケットを脱ぎ捨てたチトセの半袖になった腕には、刺青があった。
エリックの腕にも刺青があったことを思い出す。
『レイに自虐癖があるのは、彼の耳にあるピアスホールの数を見ても分かるだろ』
怜のことをそう卑下していたけれど、ピアスよりタトゥーの方がよっぽど痛いと思う。
「怜のこと、馬鹿にした言い方やめて」
「あんたさあ」
冷めた声が、呆れたように尋ねる。
「アイツのどこがそんなにいいんだよ。アイツに関わって、ロクなことがないのにな」
「どういう意味?」
事故ったことなら、怜のせいじゃない。
自分が何でもかんでも怜のせいにして、逆恨みしてるからって、一緒にしないでほしい。
「後で教えてやるよ。先に答えろ。アイツから連絡は?」
ないと答えると、チッと憎々しげに舌打ちされる。
「そんなに嫌ってんのに、何で捜したいの? 怜のこと」
怜が姿を消した理由なら、想像がつく。
「言ったんじゃないの? 悠里が死んだのはお前のせいだって。お前がいなくなればいいって」
チトセは酷い。
「嘘つくなんて、酷いよ。悠里が待ってるなんて、居場所を教えてやるなんて言って」