HE IS A PET.


「悠里の居場所なら、教えてやったよ。嘘は言ってねえ」


「……天国って?」

「墓の下。アイツに死ねとも言ってねえよ。消えろとは言ったけどな」

「消えろって言っといて、何で捜すの? もう放っといて。嫌がらせなら、もう十分じゃん。本当は分かってんでしょ? 怜を苛めても意味ないって」

「まさか連れて消えるとは思わねーだろが。アイツを捜してんじゃねえよ。アイツが連れ去った、悠里を捜してんだ」

 怜が連れ去った、悠里?

「どういう意味?」

「悠里の遺骨が、墓から盗まれた」


 墓荒らしと遺骨盗難の、両方の罪を合わせると七年以下の懲役だと、まるで刑事のように厳しく冷静に教えてくれるチトセの、苦々しい横顔を見つめた。


「でも、怜がやったなんて……証拠は」

「アイツに墓の場所を教えた翌日の朝、悠里の墓の前で眠るアイツが目撃されてる。目撃者が管理事務所に知らせに行ってる間に消えたらしい。墓が荒らされてんのが分かったのは、今朝だ。状況的に考えて、アイツが第一容疑者なのは間違いねえだろ」

 疑われても仕方のない状況だとしても、

「違う、怜じゃない。お墓を掘り返すなんて、悠里を冒涜するような真似、怜は絶対しない」


< 242 / 413 >

この作品をシェア

pagetop