HE IS A PET.


「だって、サキちゃん、お疲れっぽいもん。シャワー浴びて、すっきりさっぱりして、ちょっと寝たほうがいいと思いまーす。お昼寝のお供には、癒し系の脩吾くんがいたらいいと思いまーす」

 こんな厚かましい癒し系、見たことない。
 思わず振り返って、オレンジ色のスーツケースに視線をやった。

 スーツケースも中身も全部、アズミンからの貰い物だ。
 服、アクセサリー、CD、DVD、ゲームソフト等。

 エンジェルスマイル一つで、お持ち帰りしちゃうんだから図々しい。
 辟易する私に、脩吾はへらりと笑った。

 んな笑顔されたって、私は何もやんない。

「癒されません」

「今日、暑いしさあ。俺もシャワー浴びたい。一緒に水遊び、するー?」

「しない」

 だけど、確かにシャワーは浴びたい。ちょっと汗ばんで気持ち悪い。そういや私、昨日お風呂入ってない。

「もしかして臭い?」

 やけにシャワーを勧めてくると思ったら、臭いのか?
 脩吾の妖しげな香りに気を取られて、我が身を忘れていた。

「サキちゃん? 大好き」

「臭くない?」

「臭いの? 匂わせて」


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