HE IS A PET.


 匂いを嗅ごうとする脩吾から逃げ、シャワーを浴びるため家に帰った。

 当然のごとく付いてきて、お昼寝するまで一緒にいると言い張る脩吾に、正直参る。


「だから、お昼寝なんかしないってば。真崎さんに用事あるし」

「タツキのことでぇ?」

 ココアのグラスに浮かぶ氷をストローの先でくるくる掻き回しながら、脩吾がさらりと言った。


「サキちゃんには、どうしようもないんじゃない?」

「どうせ何も出来ないから、のんびり昼寝しろって?」 

 アズミンちで、何も聞いていないふりをして、ちゃっかり話を聞いていたらしい脩吾に眉をしかめた。

 アズミンが、怜のために手離そうとしているものは大きい。
 会社と自宅。それと、怜。

 そう知って、黙って寝てるなんて出来ない。

「都合のいい時だけ甘えて、都合が悪くなったら知らんぷり?」

 過去にも散々尽くしてもらって、最後まで貰えるだけ貰って、サヨウナラだなんて。

「そんなの、都合良すぎるよ」

 つい脩吾に当たってしまう。

「大丈夫だよ、サキちゃん」

 脩吾はへらりと笑った。


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