HE IS A PET.


「何が大丈夫なの?」

 テキトーな大丈夫なんて、要らない。

「大丈夫。サキちゃんがお昼寝してる間に、何とかなるってぇ。一回寝れば、大概のことは解決するから。サキちゃん、気が張ってるから気づいてないけど、随分疲れてるよ。お願いだから、ちょっと休んで」

 そう言って柔らかく、優しく微笑む脩吾の瞳には、本当に心配そうな色が滲んでいる。
 そう気づいて、口をつぐんだ。


「無理して寝なくてもいーから。横になって目え瞑って、しばらく休んで。そしたら、俺帰るから」

 逆に言うと、私がそうするまでは帰らないと言う。
 妥協した結果、脩吾の言う通りにした。

 確かに、真崎さんに会いに行くのが今すぐから一時間後になったとしても、私が役に立てなかった結果に変わりはない。

 アズミンの決意は揺るぎなかった。

 チトセに示談金を払って、翠幸会ごと怜から手を引かせるそうだ。示談金は、自宅マンションを売って作るらしい。

 チトセと取り引きをすることでAZMIXを巻き込まないために、社長を辞めて、怜が戻ってきたら、戸田さんに後見してもらう。

 全ては怜のために。

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