HE IS A PET.

「……ねえ、エリックってどうなるの?」

「さあ、新が使うんじゃねーの。躾甲斐がある奴、好きだからな」

「あいつの心配なんてしなくていーのよ、自分が蒔いた種なんだから。刈り取られる相手が翠幸会に変わって、まだ良かったんじゃない。殺しはしないんでしょお?」

 エリックにメロメロだった頃とは、もはや別人のような薄情さでアズミンが言った。

 まあそれもそうか。
 アズミンから貰った手切れ金で闇賭博に手を出して、ヤバイところに借金を作り、その返済に充てるお金を怜を誘拐して作ろうとしていたのだから。エリックに同情の余地はない。


 あ、やっぱ無理。ダメだ。聞いた話を思い出すだけで、胃がムカムカする。

 エリックなんか、死ねばいいのに。


「咲希? どーしたのぉ、恐い顔しちゃって」

「おい。後ろ、ちょっと黙れ……はい、千歳です」

 マナーモードにしているのか、着信音がしなかった電話にチトセが出た。
 敬語で話し終えると、運転手に行き先の変更を告げる。

「悪い、先に本部で下ろしてくれ。それから二人を送ってくれ……の前に。咲希、最後に一つ頼まれてくんねえか」

「……何?」

 チトセが私に頼みごと?

「最後に一発ヤらせてくれってえ?」

 オネーサンは黙ってて下さい。


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