HE IS A PET.
Inland Sea
チトセと別れ、梶のところに向かう。
真崎さんが心配してるから、先にAZMIXへ戻ったらとアズミンに言うと、
「咲希を送り届けるまでが、あたしの責任だから」
まるで引率教師のようなことを言う。
「それに、不健全な青少年の寝床に行くんでしょお? のこのこ一人で行って、むらむらされたら困るじゃない」
「私、そんなにむらむらしてないけど?」
どんだけ欲求不満だと思われてんですか。
「何バカ言ってんの、咲希じゃなくって青少年がよ。十七歳なんて、常にむらむらしてんだからねえ。手え握るだけで勃つわよ、気をつけなさいよお」
「アズミンこそ、何バカなこと言ってんの。そんなんでいちいち興奮してたら、日常生活に支障きたすじゃん。握手会してるアイドルとか、どうすんの」
「アイドルと一般人を一緒にしちゃ駄目よー。あたしは、一般的な十七歳の話をしてんだから」
一般的な十七歳、か。
『俺かて、一般人には強いんやで』
私を助けて、サラリーマンからお金を巻き上げたとき、梶がそう言って自嘲的に笑ったことを思い出した。