HE IS A PET.
座れと言われても、座るスペースは布団の上しかない。
やむを得ずそこに正座すると、梶はバナナを抱いたまま、ごろんとこっちに寝返りを打った。
お尻のロゴが丸見えになる。
『LOVE』の隣には『SEX』
なんて直情的なんだろう。
デザインに目を奪われていると、それはまたごろんと一回転した。
てか、ローライズがヤバイ。
際どすぎるラインから慌てて目を逸らし、何だかんだいって、じっくり鑑賞してる自分が一番ヤバイと気づく。
「ねえ、梶。目え覚めてんなら、起きて」
ぱっと見開いた瞳が、私を見上げて固まった。
「……え……何で、ほんまに、咲希ちゃん?」
「うん、おはよー。寝ぼけてる?」
笑いかけると、バナナを手離してばっと飛び起きた。
寝癖で跳ねまくった金髪と、首から吊り下げている金色の太陽。
ブランドロゴが刻まれたサークルの中に、揺らめく太陽モチーフは、ブルガリの革ひもペンダントだ。
子供には不相応な高価品だろうけれど、梶にはよく似合っている。
「ああ、これなあ。チトセがくれてん、十七の誕生日に。めちゃかっこええやろ」
私の視線を拾って、梶が笑う。
「てか、ちょっと待ってや。服着るわ。めっちゃ恥ずいやん。まさか咲希ちゃんやとは思わへんかったし」