HE IS A PET.


 じゃあ、誰だと思って招き入れて、そばに座らせたのだという疑問は湧いたけれど、あえて口には出さない。

 まあ、梶も『LOVE SEX』なんてパンツを履いちゃうお年頃だし、そーいう相手の一人や二人……いや、二人は駄目でしょ。

 良からぬ妄想を膨らませている間に、すっかり服を着終えた梶が、

「ごめん、姫。ちょっとだけ待っとって。上から、何か飲みもん取って来るわ」

 サンダルを引っかけて部屋を出て行こうとする。

「あ、待って。いーよ、すぐ帰るから。これ届けに来たの、チトセから」

 紙袋を手渡すと、中を覗いて梶が笑った。

「飯? 旨そー。チトセとヨリ戻したん?」

「え?」

「デートやったんやろ。可愛いかっこしとるし」

「あー……その件だけど。チトセとは、最初から付き合ってないから」

「え?」

「ヨリを戻す戻さない以前に、付き合ってなかったの。恋人ごっこしてただけ。騙して、ごめんね」

「……そんなん、何で今言うん」

 サンダルを脱いで、私のすぐ目の前に立った梶は、怒ったような困ったような顔をして、笑った。


「それやったら、しよか?」

「え、何?」

「抱いてもええ?」

「なっ……」
 
 何のご冗談を。



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