HE IS A PET.


「チトセのこと庇うて、言われへんの? クスリ盛られて、裸の写真撮られて、脅されてんやろ」

 梶の言葉にびっくりする。どうして知っているのか。
 チトセが喋った?

 信頼するボスが、自分を利用してそんなことをしたなんて知って、さぞショックだったろう。


「そんな顔せんといてや。誰がクスリ盛って、写真撮った思うてんの? チトセや俺みたいなん、簡単に信用したらあかんで」

 まさか……いや、もしかして、とも思ったけれど。
 騙されても信じたかった。


「俺みたいなん、なんて言い方、やめてよ」

「言うたやろ。俺、チトセのためやったら、何でもする言うて。もしチトセにやれ言われたら、咲希ちゃんが泣こうが喚こうが、この場で犯すで」

 梶の無表情を見つめ返すこと数秒、また溜め息が吐かれる。

「なんかリアクションしてや。犯すで言うとるんやで。逃げるとか、ひっぱたくとか、罵るとか、何かあるやろ。ちゃんとしてや」


「梶って、もしかしてM? ひっぱたかれたり罵られたいって……」

 あえて、そうされたいなんて、そうとしか思えない。

「何でやねん………咲希ちゃん、ほんまに天然やねんな。もうええわ、帰ってや。お疲れさん」

 私をひょいとよけて寝床に戻った梶は、お土産の入った紙袋を折り畳みテーブルの上に置いた。


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