HE IS A PET.
アズミンがうちの方向を答えると、車は静かに動き出した。
「そうそう、魔女から電話があったわ」
「え、何て?」
魔女には、チトセが『もう帰れコール』を入れてくれた。
怜を連れて帰れとも言ってくれた。首に縄つけてでもなんて、物騒なことを言っていたけど。
「怜を縛り上げるまではしたから、運び屋をよこして欲しいって。チトセに言ったら、飼い主に言えって言われたらしいわ」
「冗談だよね?」
縛って運ぶだなんて、犯罪の域じゃないの?
「冗談っぽくもなかったけどねー。引き取りに来ないなら、放して自分だけ帰って来るって。帰りたがらないんだって、怜。あの子、意外と頑固なのよねえ」
困ったように言って、アズミンは私の不安を包み込むように微笑んだ。
「悪いけど、迎えに行ってやってくんないかしら?」
「え、私が?」
「あたし、これからAZMIXに戻って、やること山ほど溜ってんのよねえー」
急に多忙アピールを始めたアズミンに、私だってと言い返すも、
「どちみち有給中でしょ?」
と一蹴される。
「でも怜は……アズミンに迎えに来てほしいと思ってると、思う」