HE IS A PET.
最後に怜に触れたとき、手を外されたことを思い出して、臆病になる。
張り切って迎えに行っても、私じゃ駄目で、また連れ帰れなかったらどうしよう。
拒絶されたらどうしよう、怖い。
「咲希は?」
アズミンが言った。
「会いたくないの? 怜に。怜がどうしたいか、あたしがどうしたいかは置いといて。咲希はどうしたいの?」
優しく厳しく問いかけられる。
「…………会いたい。怜に、会いたい」
泣きたくなるくらいの、本音が出た。
「正直で宜しい」
溜め息を吐くように笑うと、アズミンはどこかに電話をかけ始めた。
「あ~あ、結局みんな咲希にもってかれちゃうのねえ~」
と、ぼやきながら。
「あ、真崎ぃ。飛行機のチケット取って。本日便の羽田~高松。何時の便で空きがあるか、至急調べて、折り返し連絡ちょうだい。えっ? あたしじゃないわよ。咲希よ、咲希」
そうです、私です私。じゃなくって!
「聞いてないよー!」
高松まで行くなんて。
私の知識に間違いがなければ、
「高松って、四国だよね?」
「そうねえ。でもブーンと飛んだら、一時間半よ。楽勝でしょ」