HE IS A PET.


 最後に怜に触れたとき、手を外されたことを思い出して、臆病になる。

 張り切って迎えに行っても、私じゃ駄目で、また連れ帰れなかったらどうしよう。
 拒絶されたらどうしよう、怖い。


「咲希は?」

 アズミンが言った。

「会いたくないの? 怜に。怜がどうしたいか、あたしがどうしたいかは置いといて。咲希はどうしたいの?」

 優しく厳しく問いかけられる。


「…………会いたい。怜に、会いたい」

 泣きたくなるくらいの、本音が出た。


「正直で宜しい」

 溜め息を吐くように笑うと、アズミンはどこかに電話をかけ始めた。

「あ~あ、結局みんな咲希にもってかれちゃうのねえ~」

 と、ぼやきながら。


「あ、真崎ぃ。飛行機のチケット取って。本日便の羽田~高松。何時の便で空きがあるか、至急調べて、折り返し連絡ちょうだい。えっ? あたしじゃないわよ。咲希よ、咲希」

 そうです、私です私。じゃなくって!

「聞いてないよー!」

 高松まで行くなんて。
 私の知識に間違いがなければ、

「高松って、四国だよね?」

「そうねえ。でもブーンと飛んだら、一時間半よ。楽勝でしょ」


< 337 / 413 >

この作品をシェア

pagetop