HE IS A PET.
「マジでぇ? 完全に玉砕じゃん。そっかあ、分かった。ルフィのことは……てゆーか、ルフィじゃないからね、名前。他の男が付けた名前。呼ぶ度、やっぱフクザツな気持ちになんだろなーとかさあ。やっぱ色々思うじゃん? 戸籍上、法律上の問題もあるし、元奥さんちの会社も絡んでくるし。色々フクザツなんだよねー、元奥さんとこ。まあ弁護士を通すみたいだけど」
言い訳のように並び立てると、脩吾は言った。
「だから、決着がつくまで預かっててくれる?」
「何を?」
「指輪」
ああ、そうだった。指輪を返そうと思って、電話したんだった。
「無理。これ、すっごく高いんでしょ? 万が一、無くしちゃったりしたら怖い。返しに行くよ。今日か明日、予定は?」
「無理。いまサキちゃんに会ったら、ヤバい」
「何が?」
「サキちゃんのことさらって、逃げたくなっちゃうから」
キザな台詞と切ない響き。やだこれ反則。
胸が痛いじゃんか。
「逃げんな、決着つけんでしょ?」
「ん、ありがと。決着着くまで待ってて。指輪、持ってんの嫌だったら、捨ててもいーから」