HE IS A PET.


 そういう脩吾も、普通の服だ。地図柄のTシャツに、リーバイス。

「サキちゃんの浴衣姿見たかったけど、着付けに時間かかるでしょ? だから言わなかった」

 へらりと笑う。

「少しでも早く来てほしかったから。俺さあ、電話したときにはすでに来てたし」

「えっ、いつから?」

「昼すぎから。だから展望台の入場券も、もう買っちゃってんだよねー。シュウちん、出来る子でしょ」

 自称『出来る子』は、私から見れば『ちょっと痛い子』だけれど。

 いつも笑ってる。
 それって、ものすごく難しいことだと思う。


「ねえ、脩吾……指輪、持って来たんだけど」

「うん、ありがとー。後で貰うね。先に天の川見に行こー」



 地上百五十メートルに設置された『天の川』は、二万四千個のLED球から成る、きらびやかな幻想世界だった。

 青白く目映い光の川に、あちこちで感嘆の声が漏れる。
 写メやムービーを撮っている人だらけだ。

「綺麗ー」

「あっ、流れ星!」

 造り物ならではのファンタジー感に見呆けてしまう。
 天井のみならず、ガラス面の床と窓にも、光が映りこんで反射されて。そこらじゅうキラキラしてる。


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