HE IS A PET.


「サキちゃんは、写メ撮らなくていいの?」

「うん、いい。心に焼きつけるから」

 脩吾が一瞬絶句するほど、臭いことを言ってしまったけど。
 だけどこんなの、デシャヴして困る。


『忘れないで、咲希さん……今、ここでこうしてること』


 怜と手を繋いで見た、クリスマス・イルミネーションを思い出す。

 青白く輝く滝の明かりと、白い息を吐く怜の横顔。白い月。
 寒かった外気。温かった怜の手。

 あれから半年も経つ。

 時間が経つほど、実感が湧く。
 怜が隣にいた日々は、奇跡みたいだった。


「ねえ、サキちゃん。願い事しよっか」

 気を取りなしたように、脩吾がにこっと笑った。

「短冊、書いて吊るそーよ」

 見れば、沢山の短冊が吊るされた大きな笹の木が、すぐ近くに置いてある。
 訪れた人が、願い事を書いて短冊を吊るせるサービスらしい。

 コーナーに並び、いざペンを手にしたら困った。
 ちらり隣を盗み見ると、

「気にしないから、願いなよ。二十歳くんのこと。俺も、違う奴のこと願うから」

 そう言って、脩吾は自分の短冊に願い事を綴った。

『拓海が幸せでありますように』


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