HE IS A PET.
 

 いっそ、ズバリ聞いてくれたらいいのに。

 階下に下りると、明らかにそわそわとした怜ママと、妙にぎくしゃくとした怜パパが、至って普通に挨拶をしてくれた。

 ちなみに真くんは、ランランと好奇心に満ちた瞳で私を見てくるけれど、どうやら発言禁止令が出たようだ。


「夜分遅くまで、本当に失礼しました」

「いえ、何のお構いも無くて……今日は、うちの子が無理にお誘いしたみたいで、ごめんなさいね。今度は、ゆっくりいらして下さいね」

 はい、ありがとうございます、と微笑み返しながら、社交辞令をわきまえる。

 だって、私が親だったら嫌だと思う。

 可愛い可愛い、特に怜みたいに可愛い息子が、私みたいな六つも歳上の、可愛いげのない女とだなんて。

 私が帰った後に、怜は叱られるんだろうか?
 諭されるんだろうか。

 落ちる気分と共に、深く頭を下げると

「あの、失礼ですが、」

 怜パパが、意を決したように口を開いた。

「倉橋さんは、怜とは……」

 もごもごと口ごもるパパさんの後を、勇敢にも継いだのは……

「付き合ってんだよねー。キスしてたもんねー、見いちゃった」

 黙れ、次男。


 ええい、女は誠意だ! 

 開き直るしかないと思った私は、ばっとその場に両膝、両手を着いた。

「すみません。大事な息子さんに。でも、中途半端な気持ちじゃありません。怜くんのこと、本気で好きです」


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